長福寺について

 長福寺は、比叡山延暦寺を総本山とする天台宗のお寺で、正式には、「帝龍山安楽院長福寺」といいます。古い資料が数度の火災によって焼失してしまったので正確なことは分かりませんが、鎌倉時代末期にはすでに存在していたようです。いまは通称八木が谷城の跡にありますが、以前は少し離れた別の場所にあったとも考えられております。様々な災いを取り除いてくださる不動明王をご本尊としてお祀りし、併せて、人々を極楽世界に御導き下さる阿弥陀如来・観世音菩薩・勢至菩薩、お釈迦様(誕生仏)、六道における苦しみ救ってくださる地蔵菩薩(六地蔵)、七福神で知られる毘沙門天・弁財天・大黒天がお祀りされております。

天台宗について

 天台宗は、中国の浙江省台州府天台県にある天台山で、智ギ(538-597年)という僧によって開かれた宗派です。天台宗では、この智ギ禅師を高祖天台智者大師とお呼びしております。この高祖天台智者大師の教えを記した典籍が、戒律を日本に伝えたことで有名な鑑真和上などの人々によって日本に伝えられました。その典籍を読んだ最澄(766-822年)様が比叡山で開かれたのが、日本の天台宗です。天台宗では、最澄上人を宗祖伝教大師とお呼びしております。

天台宗の教え

 天台宗の高祖天台智者大師は、法華経を数あるお経の中で最高のものとし、法華経に則して佛の教えを理解しました。その教えは座禅止観の実践を通して体得されたもので、法華経に説かれていることばを細かに解説した「法華文句(ほっけもんぐ)」、法華経の教えを妙・法・蓮・華・経の五字によせて理解した「法華玄義」、実践的視点から著した「摩訶止観」等の著作が弟子によって伝えられています。分かり易い著作として、「天台小止観」というものがあります。この著作は、岡倉天心によって英訳もされております。宗祖伝教大師は、高祖のように法華経に従って様々な教えを理解いたしました。高祖以後に様々な仏教思想が中国・日本に伝えられており、宗祖伝教大師はそれらの教えも取り入れられました。簡単に言いますと、法華経の教えを宗骨とし、「南無阿弥陀仏」の念仏で知られる浄土思想、座禅止観、業を整える戒律、仏法そのものを体得する密教思想を取り入れております。天台宗の総本山である比叡山延暦寺では、これらの仏教思想の研鑽が行われており、数多くの僧侶が修学されました。その中には、臨済宗の宗祖栄西禅師、曹洞宗の宗祖道元禅師、浄土宗の宗祖法然上人、浄土真宗の宗祖親鸞上人、日蓮宗の宗祖日蓮上人等がおられます。

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